【法人向け】持続化給付金は最大200万円。その内容、要件、必要書類、課税非課税。
こんにちは、足立区北千住の税理士 佐藤崇です!
新型コロナによって大きなダメージを受ける事業者に対して、国から給付金が支給されることになりました。
その名も 持続化給付金
経産省によると「通常、申請から2週間程度でご登録の口座に入金する予定です。」とのことです。
今回はこの持続化給付金について
・その内容
・支給の対象となる要件
・支給される金額
・必要書類
・給付金に税金かかるのか
・不正に給付金をもらったら
などを解説していきます!
※【注意】この記事は執筆時点で公表されている内容を基に書いています。
持続化給付金とは
新型コロナの感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧としてこの給付金を使って欲しいというのが、持続化給付金の目的です。
つまり、経営にダメージを受けた事業者に対し、その事業をなんとか持続してもらえるように支給されるお金です。
この給付金の使い道は自由です。
運転資金でも、スタッフへの給与でも、自身の生活費でも
支給された後は、ご自身が事業を継続するために必要なものに充てましょう!
給付の対象者・要件
では、いったい誰がこの給付金をもらえるか見ていきます。
先ほどの通り、新型コロナの影響を大きく受ける事業者が対象となっていますが、その支給には3つの要件があります。
①資本金が10億円未満の法人
②今後も事業を継続する意思があること
③新型コロナの影響により、前年同月比で売上が50%以上減少した月があること
これらの要件 もうすこし細かく見てみましょう。
①事業規模
まず最初に、資本金が10億円未満の法人に限られます。
もし資本金がない法人なら、従業員数が2,000人以下であれば対象になります。
いずれも判定は2020年4月1日時点です。
また、医療法人、NPO法人などの法人も対象となっています。
大企業を除き、広く法人を対象としてくれています。
②今後も事業を継続する意思がある
そうです、給付金をもらうのは事業を今後も継続するためです。
③前年同月比で売上が50%以上減少
新型コロナの影響により、2020年1月〜12月のどこか一月の売上が、前年(2019年)の同月比で50%以上減少していることが条件です。
この言い回しがわかりにくいポイントのようで、よくお問合せいただきますね。
2020年と2019年の売上を同じ月ごとに比べてみて、2020年のどこかの月の売上が、2019年の同じ月の売上より50%以上減少していればいいというわけです。
法人だと決算が12月とは限らないので注意して売上比較したいですね。
売上の比較をする月は2020年と2019年の1月〜12月ですから、当期に2020年と2019年が混ざっていますので。
自社の決算に合わせて図にして見比べるのが一番です!
例えば8月決算(当期が2019年9月〜2020年8月)の法人を図にしてみるとこうなります↓
このように当期と前期の売上を月ごとに並べてみると分かりやすいのですが、2020年と2019年が混ざっていますので注意してくださいねー
50%減の判定をする月は囲ったように2020年1月以降です。
この表だと4月が、当期の売上が前期より50%以上減少していますよね。
このような月がひとつでもあれば給付の対象となります。
支給される金額
法人に給付される金額は 最大200万円 です。
上限が200万円ということで、200万円を下回るケースもあります。
それでは具体的に給付額を計算してみましょう!
計算式はこの程度です↓
A:前期の年間売上
B:当期 売上が前年比50%以下となったあるひと月の月間売上
給付額 = A - B × 12 (上限200万円)
次のような法人で給付額を試算してみます。
・ 当期:2019年9月~2020年8月
・ 前期 2018年9月~2019年8月の年間売上:1,470万円 ←A
・ 2019年4月の月間売上:130万円
・ 2020年4月の月刊売上:60万円 ←B
1,470万円 − 60万円 × 12 = 750万円
この場合、200万円以上となったので、給付額は上限の200万円ということになります。
ただし、この計算によって出た金額が200万円未満の場合は、その計算された金額(10万円未満切捨)が給付額となります。
【2020.5.10追記】↑ 1円単位まで支給されることになりました。ですが給付をスピーディーに進める観点から、当面の間は10万円未満切捨てされた金額が先に支給され、後日追加分(1円単位までの差額)が支給されます。
この追加分を受けるための再度の申請は不要です。
申請方法
この持続化給付金をもらうためには「申請」が必要です。
給付金の申請期間は 2020年5月1日〜2021年1月15日まで
電子(オンライン)申請が原則とされています。
申請はこちらから→ 持続化給付金サイト
また、電子申請に不慣れな方や困難な方に対しても、感染症防止対策も講じた上で、予約制の申請支援(必要情報の入力等)を行う「申請サポート会場」が全国に順次設置されています。
申請サポート会場についてはこちらにまとめてあります↓
持続化給付金】の申請サポート会場について|会場一覧、予約方法、持ち物。
ところで申請には書類が付きものですよね。
次に必要な書類を確認していきましょう!
必要書類
ここから必要書類をチェックしていきますが、先ほどのようにオンライン申請が原則ですので、データはスキャンデータ(PDF形式)や写真データ(JPGまたはPNG形式)で用意するようにします。
申請に必要な書類は3種類です。
①確定申告書関係
②売上帳
③通帳
では詳しく見ていきましょう!
(この後の図表は経産省の持続化給付金の申請要領(中小法人等事業者向け)から引用しています。)
①確定申告書類
・直近の確定申告書の別表一(1枚)
・法人事業概況説明書(2枚(両面))
・メール詳細(受信通知)※
※紙ベースで申告している場合、確定申告書の別表一には収受日付印が押されているので、「メール詳細」は必要ありません。
②月間売上が前年比50%減したひと月の売上台帳等
続いては、(当期の)月間売上が前年比50%減したどこかのひと月の売上台帳等 です。
売上台帳なんて改めて言われると・・・どんなもの?となってしまうかもしれませんが、次の内容が記載されていればOKです。
・日付(請求日)
・取引先名(取引先の住所まではなくても可)
・取引内容(どんな内容の売上か)
・請求額(売上金額)
・その月の合計請求額
この売上台帳のフォーマットの指定はありませんので、
・経理ソフト等から抽出したデータ
・Excelデータ
・手書きの売上帳
などでOKです。
明確にして欲しいのが、そのデータがその売上減少したひと月のものだと はっきり分かるようにすることです。
そのデータに「2020年◯月 売上帳」などと記載しておけばいいですね。
③ 通帳の写し
紙の通帳であっても、ネットバンクの画面コピーでも次の項目がすべて記載されているようにしましょう。
・銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・口座名義人
①~③いずれもそうですが、申請書をチェックする側に立ち、できる限りデータを鮮明に見やすく準備してあげると、余計な問合せがくることもなくスムーズに事が進むと思います。
申請後の流れ
書類を揃えて申請した後は、申請内容に不備がなければ、おおむね2週間程度で給付金が指定した口座に振り込まれる予定となっています。
原則、振り込みの前に「給付通知」といった書類が届くことになっています。
ちなみに申請が下りなかった場合は「不給付通知」が届くとのこと。。。
不正受給
この持続化給付金という制度、スピード重視のためか、給付要件がゆるめだと感じる方も多いのではないでしょうか。
そうすると必ず不正に給付金をもらおうとする人(会社)が出てきますよね。
そういう人のために不正受給をした場合にはこんなことが課せられることとされています。
①給付金の全額の返還
②給付金額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金の支払い
③上記①と②の合計額の20%相当額の支払い。
④申請者の法人名などを公表。非常に悪質な場合には刑事告発される。
持続化給付金に税金はかかるのか
持続化給付金を無事にもらえることができました。
気になるのはそのお金に税金てかかるのでしょうか?
結論は、
法人税はかかる
けど
消費税はかからない
という取扱いです。
法人税について
持続化給付金ひとつに法人税がかかるわけではなく、持続化給付金も含めて当期終えたときのトータル利益がプラスであれば法人税がかかります。
一方で、コロナの影響により赤字幅が大きく、持続化給付金を含めてもまだ赤字の状態であればもちろん法人税はかかりません。
まとめ
今回は持続化給付金について
・その内容
・支給の対象となる要件
・支給される金額
・必要書類
・給付金に税金かかるのか
・不正に給付金をもらったら
などを解説してきました。
この持続化給付金は、新型コロナの影響により大きなダメージを受けた事業者に、このお金でなんとか事業を継続して欲しい!そんな思いが込められていると私は理解しています。
国が設けたせっかくの制度ですし、申請書類は至ってシンプルですから、ぜひ活用していただければと思います!
また、税制も執筆時点のものになっており、記事によってはその後の法改正が反映されていない可能性がありますのでご注意ください。
◆個別・単発の税務相談を承っております。自分の状況に合わせて相談したい!という方はこちらへ↓
個別・スポット相談
足立区北千住の『佐藤崇税理士事務所』
小さな会社様(従業員数5名以下)、フリーランス・個人事業主様に特化して税務サービスを提供しています。
■ 佐藤崇のプロフィール
■ 個別・スポット相談
■ 顧問契約_法人・会社
■ 顧問契約_フリーランス・個人事業主
■ 執筆・取材・出演のご依頼
■ 税理士受験生と税法大学院について語り合う会
■ はじめての会社_入門記事まとめ