決算日の変更は登記不要で簡単にできる。けどあまりオススメしない理由。

(事務所近くの電大通り)

 

 

ずいぶん前にお客様の決算日を変更しましたが、先日別のお客様でも同様の話が出てきました。

決算日の変更は簡単にできますが、それより面倒な事態になる(お客様にとっても私にとっても)ので正直あまりオススメはしていません。

今日は決算日変更のやり方とそのメリット・デメリットを書いていきたいと思います。

 

 

決算日変更の手続き(登記不要)

 

大前提として法人は決算日を変更することができますが、個人事業の場合は変更することができません。個人事業の決算日は必ず12月31日です。

それでは法人の決算日変更の手続きを順を追って見ていきます。

 

1)株主総会議事録を作成

まず最初にやることは法人の株主総会を開いて、決算日の変更を決議することです。

決算日(事業年度)は法人の定款に定められていますので、その定款を変更するために株主総会が必要になります。

その株主総会で決算日を変更したことを証明するものとして「株主総会議事録」を作成するわけですね。

株主総会議事録の作成なんて仰々しく書いていますが、小さな会社であれば株主総会に参加するのは社長ひとりか配偶者が相場ですから、社長が決算日を変更したいと思えば即変更することができます。

 

有難いことが2つあります。

①定款の内容(決算日)を変更しても、定款を書き換えたりしなくていい

②決算日の変更は登記しなくていい

そのため登記費用も司法書士への手数料もかかりませんし、時間もかかりません。

 

2)税務署などへ異動届を提出

続いてやることは、決算日の変更を税務署などに報告することです。

具体的には、それぞれ所轄の税務署、都税(県税)事務所、市役所に異動届を提出します。

これで決算日の変更手続きは完了です。簡単ですね。

 

一応、いつまでに株主総会を開いたり、税務署へ異動届を提出するのかというと、「できるだけ早めに」というところでしょう。

事業年度は1年を超えて設定することはできません。決算日を変更することはすなわち事業年度を1年未満に短縮することですから、いつもより早めに決算を迎えることになるでしょう。なので決算日を変更したいと思ったらなるべく早めに手続きを取りましょう。変更後の決算日を過ぎてから届出しても遅いかもしれません。

 

決算日変更のデメリット

 

決算日変更の手続きは簡単で、いつでも、何回でもできます。

ただし、私はあまりオススメしていません。それは次のような理由からです。

 

・慣れ親しんだ決算月がリセットされてしまう

社長の頭の中では常に決算は◯月、当期は残り何ヶ月、それまでに利益がどれくらいになるか、売上があとどれくらい必要かと計算されているものです。

その根本の指標となる決算月が変わるとすべての計算がやり直しになるんです。

いつもの決算3月で暗算して・・・違う違う1月に変えたからえーっと・・・。

これは変更した期の翌期以降でも負担を増やします。

前期(事業年度9ヶ月間)の売上は5,000万で、前前期(事業年度12ヶ月間)の売上も5,000万か、なんだ売上は横ばいか・・・違う違う前期は9ヶ月間しかないのに5,000万だから12ヶ月に換算すると5,000万÷9×12で・・・あ〜面倒!

しばらく暗算はできないようになるでしょう^^;

 

慣れ親しんだ決算が変わると他にも色々あります。

うちの決算は毎年子どもが進級する春だった・・・けどこれからは夏になる。1年のサイクルがくるうな。。。

銀行員から、社長さんとこの決算は◯月でしたよね?どうですか納税資金の融資は?

いや、うち決算◯月に変わってもう納税したから大丈夫なんだ。。。

取引業者から、社長さん今月が決算ですよね?節税で来月買う分を今月に回しません?

いや、うち決算◯月に変更して、先月だったんだよ決算。。。

 

・比較しにくい

計算の対象期間が12ヶ月間と9ヶ月間・・・もう大変ですね。

前期比較の試算表、売上の3年比較表などなど「比較」と名がつくものはすべて一手間入れなければなりません。

想像するだけでもう煩雑です。ミスも誘発しますね。

 

 

 

決算日変更のメリット

 

デメリットはわかりましたが、決算日変更のメリットって何でしょう?

まず一つは、設立当初はなかったけどその後、決算月〜申告月が繁忙になる仕事(季節モノ)を受注して、忙しすぎて決算どころではなくなったケース。

このケースに関してだけは決算日を変更することでメリットがあると思います。

 

あとは考えても調べてもそこまでのものは出てきません。

強いて言えば、決算間近に大きな売上がたつから決算日を前倒ししてその売上を翌期にもっていけるということ。

5月決算の法人が、3月の時点で5月に多額の売上があがる仕事を受注したので、決算を4月に変更することでその売上を翌期にもっていくと。翌期1年かけてじっくりと節税策を練るようなイメージですね。

これを節税策の一手だと言っている人もいますが、トータルで考えるとそんなに使える手法ではないというのが実感です。

それでも上記したデメリットを凌駕する程の規模であれば一考の余地がありますかね。

 

 

まとめ

 

今日は決算日の変更についてまとめてみました。

ん〜デメリットの方が強い気がするのは私だけじゃないでしょう。

簡単で費用がかからないからと言って決算日を変更するのはあまりオススメしません。

節税を考えるならもっと優先してやるものもありますしね。

 

 

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《編集後記》
昨日は打合せ2件。事務所に戻ってからFacebookページを作成しました。
これまでブログを更新してもそれを知らせる術を何もしていなかったんですが、今後はFacebookページを通じて更新情報をアップしていきたいと思います。

《兄弟日記6歳3歳》
昨日が年内の幼稚園最終日でした。これからは幼稚園に行っていた日中も3人(妻、子ら)で過ごすことも多くなるので・・・想像するだけでも嫁さん大変そうです。。。

 

 

 

◆この記事は執筆時点の想いをもとに書いています。
また、税制も執筆時点のものになっており、記事によってはその後の法改正が反映されていない可能性がありますのでご注意ください。



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