【表で比較】小規模企業共済 と 経営セーフティ共済(倒産防止共済)
節税や退職金積立に使われる「小規模企業共済」と「経営セーフティ共済」があるのは聞いたことあるけど・・・結局どっちがどうなの!?
という疑問に答えるべくこの2つの制度を並べた表を作りました。
最初に表全体を載せてあり、その後に個別にコメントを入れてあります。
加入を考えている方は参考にしてみて下さい。
全体像
小規模企業共済 | 経営セーフティ共済 | |
誰名義で加入するのか | 個人名義で加入(法人の役員や個人事業主が) | 法人名義、個人事業主名義で加入 |
加入資格 | 法人でも個人事業主でも入れる。 ■サービス業、卸売業、小売業、士業法人→従業員数5人以下 ■その他の業種→従業員が20人以下 |
法人でも個人事業主でも入れる。 ■1年以上事業を継続していること(基本的にどんな業種でもOK) ■法人なら資本金が5,000万円〜3億円以下(業種による) |
掛金の取扱い | 所得控除(個人の税金計算上) | 法人・個人事業の経費に計上 |
掛金の金額 | 月1,000円〜7万円(年間最大84万円) | 月5,000円〜20万円(年間最大240万円) |
掛金の支払方法 | 個人名義の口座から毎月振替 〈年払い(前納)も可能〉 |
法人・個人名義の口座から毎月振替 〈年払い(前納)も可能〉 |
解約金(共済金)の取扱い | 次のような個人の収入(所得)となる。
(1)退職所得 ← 解約金を一括で受取る、65歳以上になってから解約するetc |
■法人なら解約したときに法人の収益(益金)に計上
■個人なら事業所得に計上 |
解約時の注意点 | 任意解約の場合で、加入期間が240ヶ月(20年)未満の時は、元本割れする。 | 加入期間が40カ月以下だと元本割れする |
貸付制度 | あり
■無担保、無保証で資金を借りることが可能。 |
あり
■無担保、無保証で資金を借りることが可能。 |
申告書の添付書類 | ■掛金払込証明書 | 〈法人の場合〉 (1)適用額明細書 (2)特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書〈個人事業主の場合〉 中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書 |
個別にコメント
それでは上の表を切り分けて少しずつ見ていきたいと思います。
まずは加入資格についてです。
小規模企業共済 | 経営セーフティ共済 | |
誰名義で加入するのか | 個人名義で加入(法人の役員や個人事業主が) | 法人名義、個人事業主名義で加入 |
加入資格 | 法人でも個人事業主でも入れる。 ■サービス業、卸売業、小売業、士業法人→従業員数5人以下 ■その他の業種→従業員が20人以下 |
法人でも個人事業主でも入れる。 ■1年以上事業を継続していること(基本的にどんな業種でもOK) ■法人なら資本金が5,000万円〜3億円以下(業種による) |
小規模企業共済も経営セーフティ共済もどちらも法人であっても個人事業主であっても加入できます。
間違いやすいのが「小規模企業共済は個人名義で加入」、「経営セーフティ共済は法人・事業主名義で加入」というところでしょう。
あとは概ねどんな業種でも大丈夫ですし、経営セーフティ共済の資本金も5,000万〜以下なら問題ないでしょう。
ただし、両制度とも医療個人はOK、医療法人は入れないことになっています。
次は掛金の取扱いを見てみます。
小規模企業共済 | 経営セーフティ共済 | |
掛金の取扱い | 所得控除(個人の税金計算上) | 法人・個人事業の経費に計上 |
掛金の金額 | 月1,000円〜7万円(年間最大84万円) | 月5,000円〜20万円(年間最大240万円) |
掛金の支払方法 | 個人名義の口座から毎月振替 〈年払い(前納)も可能〉 |
法人・個人名義の口座から毎月振替 〈年払い(前納)も可能〉 |
両制度で異なる点は、掛金が税金計算上どう取り扱われるかという部分です。
小規模企業共済であれば確定申告(年末調整)のときにまとめて所得控除を受けることで節税になります。
経営セーフティ共済の方は支払った都度、法人・個人事業の経費に計上していくことで節税メリットを受けることになります。
共通するのは両制度とも掛金の増額・減額が可能ですし、掛金の年払い(前納)ができるところです。
年末・期末のギリギリでもできる節税策と言えるでしょう。(私も今年ギリギリでやりました。。。)
続いて、解約したときの解約金の注意点です。
小規模企業共済 | 経営セーフティ共済 | |
解約金(共済金)の取扱い | 次のような個人の収入(所得)となる。
(1)退職所得 ← 解約金を一括で受取る、65歳以上になってから解約するetc |
■法人なら解約したときに法人の収益(益金)に計上
■個人なら事業所得に計上 |
解約時の注意点 | 任意解約の場合で、加入期間が240ヶ月(20年)未満の時は、元本割れする。 | 加入期間が40カ月以下だと元本割れする |
解約金の取扱いは両制度で異なります。
小規模企業共済なら3区分の個人の収入(所得)となり、それぞれで税金の取扱いが定められています。
経営セーフティ共済は単純に収益となります。法人なら益金計上、個人なら事業所得に計上します。
注意点としては両制度とも、一定の加入(支払)期間に満たない場合は解約金が元本割れしてしまうんですね。。
元本割れというのは、支払った金額より解約金の方が少ないということです。
単に元本割れと言われると損した感じがしますが、小規模企業共済ならそれまでの所得控除による節税額も考慮してみると損していないことも多いでしょう。
経営セーフティ共済は掛金が経費になって節税できていますが、解約した時は全額収益に入りますのでそのままにしておくと税金がかかってきます。
これは生命保険と同じで、出口戦略を考えておかないと逆に損してしまうケースもありますので注意しましょう。
ただし、経営セーフティ共済の掛け金総額が掛金月額の40倍(最大800万)に達した後は、掛け金の掛止めができます。
掛止めできる(半永久的に)ということはその解約時期を自分で選べるということです。ものすごく使い勝手がいいですね。
両制度とも貸付制度が用意されています。
小規模企業共済 | 経営セーフティ共済 | |
貸付制度 | あり
■無担保、無保証で資金を借りることが可能。 |
あり
■無担保、無保証で資金を借りることが可能。 |
お金を借りることは主目的ではありませんが、万が一の時にこういった制度が利用できるのとできないのでは、経営者の安心感はぜんぜん違うものでしょう。
最後に節税メリットを享受するために必要な添付書類です。
小規模企業共済 | 経営セーフティ共済 | |
申告書の添付書類 | ■掛金払込証明書 | 〈法人の場合〉
(1)適用額明細書 〈個人事業主の場合〉 中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書 |
まとめ
以前、小規模企業共済と経営セーフティ共済の記事を個別には書いてきましたが、お客様と話していても両制度がごっちゃになっていることが多かったので、今回は表を作って比較するような形で書きました。
節税&経営者の退職金積立に使える制度なので検討してみてはいかがでしょうか。
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■【経営セーフティ共済】期末直前に年払い(前納)してきたので注意点をご紹介します。
《編集後記》
昨日は年末調整の大詰め。まだ終わりきれませんでした。なんとか年内に法定調書まで終わらせるつもりです。
ブログには初めて「ポチレバ」を入れてみました。
《兄弟日記6歳3歳》
昨夜寝室から変な声が聞こえてきたのでどっちかが起きたんだなと思い寝室に向かうと、「助けて〜助けて〜」と次男がうなされていました。一体何の夢を見ていたのか・・・。
また、税制も執筆時点のものになっており、記事によってはその後の法改正が反映されていない可能性がありますのでご注意ください。
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