【経営セーフティ共済】(倒産防止共済)の加入メリットと注意点を5つずつまとめてみます。

 

 

事業を営んでいる方なら経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)という名称を一度は聞いたことがあるかもしれません。

混乱しがちなので最初に言いますが、「小規模企業共済」とは異なりますので。

小規模共済については記事にしてあります↓

知っておきたい小規模企業共済!節税&退職金|特に個人事業主には必須⁈

 

今回は経営セーフティ共済について書いていきます。

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)はその名の通り、中小企業が取引先の倒産の影響を受けて他の企業が連鎖倒産するのを防止することを目的にしている制度です。

 

お客様の取引先が倒産し売掛金が貸し倒れるということってどうしてもあります。

 

そうなると予定していた入金がなく、それでも外注先への支払いは待ったなしという状況で銀行に融資を申し込まざるを得ないなんてことがクライアントでもありました。

 

そこで融資を断られてしまうと連鎖倒産という事態も多いにあり得ます。そんなリスクに備えるための経営セーフティ共済です。

 

取引先の倒産時に活用できること以外にも様々なメリットがあります。むしろ本来の目的以外の方がメリットがあるように思えます。

 

経営セーフティ共済の主なメリットは次の通りです。

・支払った掛け金が全額経費になる
・掛け止めが可能
・40ヶ月以上掛け金を支払えば掛け金の全額が戻ってくる
・借入を受けることができる
・解約後もう一度加入できる

 

それでは、まずは先に経営セーフティ共済の概要と加入資格を確認してから加入メリット、注意点を見ていきたいと思います!

 

 

経営セーフティ共済の概要

 

取引先が倒産して債権回収が困難な場合に共済金の貸付が受けられるというのがそもそもの趣旨です。

もちろん無担保・無保証人・無利子(下記注意点あり)。

 

「実際の損害額」と「納付済掛金の10倍の金額」のいずれか小さい額を貸してくれるので、万が一の時も資金調達ができるようになっています。

 

例えば、既に掛金を200万円納付済みで、3,000万円の売掛債権が回収できない場合は、2,000万円(3,000万円 > 200万円×10倍 = 2,000万円)の借入れが可能ということです。

返済期間は次の通りです。


(中小機構HPより)

 

 

 

〈加入資格〉会社でも個人でも加入可

 

中小企業倒産防止共済は、1年以上事業を行っていて、下の「資本金の額または出資の総額」、「常時使用する従業員数」のいずれかの条件を充たせば加入できます。

 

「常時使用する従業員数」とは主に常勤正社員のことです。(事業主、家族従業員、会社の役員、雇用期間が2ヶ月以下の人は加入対象外)

 

また、「1年以上事業を継続」ということから事業開始した初年度は加入できないということですね。(法人成りを除きます)

 

なお、医療個人、飲食店など売掛債権が生じない業種でも加入できますが、残念ながら医療法人は加入できません。。。
(小規模共済も同様に医療個人はOK、医療法人は入れないんですよね)


※医療法人、農事組合法人、NPO法人、森林組合、農業協同組合、外国法人等は加入対象になりません。
(中小機構HPより)

 

 

経営セーフティ共済のメリット5つ

 

⑴支払った掛け金の全額が経費になる

 

掛け金全額が納付した時の経費となるため、節税しながら倒産リスクに備えることができるのは大きなメリットじゃないでしょうか。

 

掛け金については、毎月5千円~20万円の間(5千円単位)で掛け金を自由に設定することができ、掛け金を途中で増減変更することも可能です。

なお毎月20万×40ヶ月の800万円が掛けられる上限となっています。

 

 

⑵掛け止めが可能

 

掛金の総額が800万円に達した後は、掛け金の掛止めができます

 

経営セーフティ共済で掛けられる上限は800万円です。それ以上は掛けたくても掛けられません。

 

掛止めについて触れている記事があまりありませんが、掛止めできるって非常にありがたいことですよね。

 

半永久的に800万を預けておけて、好きなタイミングで解約できるなんて・・・理想的じゃないでしょうか。

 

解約金は収益になるためそのままだと税金がかかりますので、

解約時期は赤字の期にしようとか

退職金など大きな経費が生じる期に解約するとか

できるわけですよね。

 

何度も言ってしまいますが、掛止めできるということはその解約時期を選べるということです・・・ものすごく使い勝手がいいと思うのは私だけではないはずです。

 

 

⑶40ヶ月以上掛け金を支払えば掛け金の全額が戻ってくる

 

解約すると戻ってくる解約手当金の額は40ヶ月以上加入していれば、それまで支払った掛け金の全額が戻ってきます。(払い戻し率100%!)

 

加入して40ヶ月(わずか3年とちょっと)以降という早いタイミングで払い戻し率100%になるというのは、民間の生命保険に比べても大きなメリットと言えるでしょう。

 

下の表の通り、たとえ40ヶ月未満でも解約手当金の払い戻し率は民間の生命保険よりも高く設定されています。

 

自分で任意の時期に自由に解約するという下表の「任意解約」を見てみると、加入期間12ヶ月未満ならば解約手当金はゼロですが、12ヶ月以上ならば掛金総額の80%以上、24ヶ 月以上ならば85%以上、30ヶ月以上ならば90%以上、36ヶ月以上ならば95%以上、が戻ってきます。


(中小機構HPより)

 

 

⑷借入を受けることができる

 

取引先が倒産していなくても、「一時貸付金」として納付期間に応じて最大で納付した掛金の95%相当額を借入れることができます。(下表参照)

 

利率はなんと年0.9%(2019年7月現在)。

しかも無担保・無保証人でOK。

 

この優遇っぷりは経営者の精神的な不安を大いに取り除くことだと思います。

なお借入可能期間は1年間で、1年後に一括返済です。


(中小機構HPより)

 

 

⑸解約後もう一度加入できる

 

一旦解約しても再度加入条件を充たせば再び加入することができます。

40ヶ月という短い期間が一つの目安になるので、繰り返し加入できるようになっています。

 

 

経営セーフティ共済の注意点

 

メリットの次は注意点です。

 

⑴個人事業は事業所得以外の場合は経費にできない

 

事業所得以外の事業を営んでいる個人事業では、掛け金を経費にすることができません。

 

個人事業の方は要注意です。

例えば、個人事業者として不動産の賃貸業をやっている(不動産所得)、

フリーランスとしてFX投資をやっている(雑所得)

などの場合は事業所得ではないので、掛け金を経費計上できません。

 

事業所得がある場合のみ、掛け金を経費に計上できるというメリットを享受できます。

 

 

⑵解約手当金は全額収益となる

 

支払った掛け金が全額経費になるので当たり前と言えば当たり前ですが意識しておく必要があります。

 

会社でも個人事業者でも解約手当金は、収入(収益)となります。

掛止めをうまく利用したいですね。

 

 

⑶無利息だが貸付けを受けると利息分の掛け金が消滅する

 

無利子・無担保である代わりに、共済金を借りるとその10分の1の額が掛金総額の中から取り崩されてしまいます。

たとえば極端な例でいうと、掛け金が上限の800万円貯まっている状態で取引先の倒産によって共済金8,000万円を借りることになった場合、その10分の1に相当する貯まっていた掛金800万円が全額取られることになります。。。

 

⑷納付期間が40カ月以下だと元本割れする

 

掛金の納付期間が40カ月以下の状態で解約すると、元本割れします。

 

解約手当金の元本は割ってしまいますが、それまでの経費に入っての節税効果を考慮すると損まではしていない可能性もありますけど・・・頑張って40ヶ月の壁を超えたいものです。

 

 

⑸申告書の添付書類

 

掛金を経費にするためには申告書に一定の書類を添付しなければなりません。

個人事業主と法人、それぞれ見てみましょう!

 

個人事業主の場合

個人事業主が掛け金を必要経費として算入するには、
任意の用紙で以下の様式例『中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書』を作成して、確定申告書に添付しましょう。


(中小機構HPより)

 

法人の場合

法人の場合は添付書類が2つあります。

1つが「適用額明細書」

2つ目が「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」です。

 

この書類の中には中小企業倒産防止や経営セーフティ共済なんて文字は一切出てきませんが、こちらのⅢ欄に必要事項を記載します。

 

 

まとめ

 

経営セーフティ共済について書きました。

加入資格はゆるく、掛金が全額経費などメリットが多くありますね。

メリットだけに目を奪われず注意すべき点もありますので、そこも踏まえて加入を検討してみてはいかがでしょう。

 

 

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◆この記事は執筆時点の想いをもとに書いています。
また、税制も執筆時点のものになっており、記事によってはその後の法改正が反映されていない可能性がありますのでご注意ください。



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