【経営セーフティ共済】期末直前に年払い(前納)してきたので申込みの注意点をご紹介します。

 

 

先月の小規模企業共済に続き、今回は経営セーフティ共済の掛金の1年分を実際に前納(年払い)してきました。

申込書の書き方はそこまで難しくないですが、申し込みの窓口となる銀行ではトラブりました・・・

 

 

経営セーフティ共済とは

 

まず経営セーフティ共済について簡単にご説明しますと、取引先が倒産して債権回収が困難な場合に共済金の貸付が受けられるというのがそもそもの趣旨です。個人事業でも法人でも加入対象です。
《参考記事》【経営セーフティ共済】(倒産防止共済)の加入メリットと注意点を5つずつまとめてみます。

ですが実際は、
・支払った掛け金が全額経費になる
・40ヶ月以上掛け金を支払えば掛け金の全額が戻ってくる
などのメリットから節税目的に利用されることも多いです。

また、期末直前に年払いすることで12ヶ月分の掛金を当期の経費にすることができるので、法人なら決算月、個人事業なら12月にギリギリ申し込むようなことも多いですね。

そんな時のために今回は申込書の書き方、申込窓口となる銀行に行くときの注意点を実体験からご紹介していきたいと思います。

 

申込書ではここに注意

 

申込書の書き方は1ヶ所だけ注意すれば、それ以外は何の疑問も持たず書くことができます。

住所・氏名など一般的なことです。

↓注意すべき1ヶ所はこの黄色枠の部分です。ここを誤るとせっかく年払い(前納)したのに経費に入るのが翌年になってしまいます。

結論は、掛金1年分を年払いで申し込んでその期の経費にするには、口座振替ではなく「振込」で掛金を支払うようにしましょう。

振込であれば振り込んだ時の経費にできますので。

①希望する
イ 振込による前納を希望する場合
12か月分、として、最後に1年分の掛金の合計額を記入します。

これで申込書はOKです。

 

(注)口座振替(月払い)の場合

口座振替の場合、その口座振替がされた日に経費計上できることがポイントです。

申し込みから2〜3ヶ月後に初回の口座振替が行われるので、その口座振替された日に経費になります。

つまり、個人事業で12月に申し込んだとしたら初回の口座振替は遅いと翌年3月になるので、経費になるのも翌年ということになってしまうのです。

申込書にも赤字でこう書かれています。

※初回預金口座振替は原則2か月後になります。加入審査状況によっては、初回の振替が遅れる場合があります。

 

 

 

次に右隣の「掛金預金口座振替申出書」に行きます。
この黄色枠の「指定預金口座」は単純に振込(振替)する口座を書けばいいと思い、勢いで書いてしまいそうになりますが、まだ書かないで頂きたい!
(上の「契約申込者」は書いて大丈夫です)

この「指定預金口座」は掛金を振り込む銀行口座を書くので正解ですが、どの銀行でも振り込めるかといったらそう簡単にはいかないケースがあります。
ですので、次の内容を読んでいただき、銀行に電話して確認してから記入するようにした方が安全です。

(いちおう、私はここを誤って先に書いてしまいましたが、銀行届出印で訂正印を押せば大丈夫でした。ですが、二度手間ですし、書類が荒れますので^^;)

 

 

 

書類をいつまでに金融機関に持っていく必要があるのか?

先ほどのように「振込み」で年払いして経費にするには、いつまでに書類を金融機関に持っていく必要があるのでしょうか。

・法人なら決算日まで

・個人事業主なら12月の金融機関の最終営業日まで

です。

 

8月決算法人であれば、8/31(土日にあたる場合は、その前日)までに書類を持っていき、その場で振込みできれば、8月の経費とすることができます。

 

ただし、書類に不備があった場合や、そもそもその銀行が受け付けてくれないケースがありますので、ぜひ余裕を持って手続きするようにしましょう!

 

 

 

添付書類は?

 

続いて添付書類です。

添付書類については中小機構HPより引用します。↓

 

法人企業(会社、組合)の場合

商業登記簿謄本または登記事項証明書 提示書類

  • 法務局発行の日から3か月以内の原本が必要になります。

法人税の確定申告書(直近の決算書等の添付書類を含む) 提示書類

  • 所轄税務署の受付印があるものを提出してください。

法人税を納付したことを証する「納税証明書(その1)」 提示書類

  • 確定申告書に記載された中間、確定の税額を納付したことを証する領収書で代えることもできます。

 

個人事業主の場合

所得税の確定申告書(直近の決算書・収支内訳書等の添付書類を含む) 提示書類

  • 所轄税務署の受付印があるものを提出してください。

所得税を納付したことを証する「納税証明書(その1)」 提示書類

  • 確定申告書に記載された予定、確定の税額を納付したことを証する領収書で代えることもできます。

確定申告書を作成するときに使用した帳簿等(白色申告書の場合) 提示書類

 

添付書類にもれがあると二度手間ですから、先ほどの銀行に電話(掛金振込できるかどうか)のタイミングで、ついでに添付書類についても確認して言質を取っておきましょう。
納税証明書でも税金の領収書でも本当にどっちでもいいの?
具体的に何の税金の領収書持っていけばいいの?(前期は税金還付でしたけど、とか)
といった具合で再確認した方がいいでしょう。

せっかく今この記事を読んでくださっているなら、二度手間だけは避けて頂きたい。

≪参考記事≫
印鑑証明書、謄本、納税証明書を取れる場所は?会社と個人で異なります。

 

 

掛金を振込む銀行選択は要注意

 

そもそも申し込めない金融機関がある

 

下記中小機構HPのものですが、そもそも経営セーフティ共済を取り扱っていない金融機関があるので注意しましょう。

経営セーフティ共済への加入手続きは、中小機構と業務委託契約を締結している団体(委託団体)または金融機関の本支店(代理店)の窓口で行ってください。委託団体の場合は会員(組合員)であること、金融機関の場合は、融資取引があることが条件となります。
なお、ゆうちょ銀行、農業協同組合、労働金庫、新生銀行、あおぞら銀行、シティバンク等の外資系銀行、楽天銀行等のインターネット専業銀行は、経営セーフティ共済をお取扱いしておりませんのでご注意ください。

ゆうちょ銀行やネット銀行は取り扱っていませんね。

融資取引がないとダメなような書き方ですが、口座を開設してから1年以上経っていれば大丈夫とのことです。

例えば1期目・2期目の法人なんかは微妙なラインですので事前に問い合わせた方がいいですね。

 

私の体験談

 

以下あくまで私の体験談なのでみなさんに共通しないこともあると思います。

私は申込書は問題なく仕上げることができ、添付書類を添えて申し込みの窓口となるM菱銀行に行きましたが、ここで問題が起きました。

口座を開設した支店じゃないと受け付けられないとのこと。

申し込みする銀行の支店と、自分の口座の支店が違うと手続きができないと。

(いや、それくらいいいでしょ!と言ってもどうにもならないことは分かっているので言いませんが、喉元まできてました^^)

 

納得できないので中小機構に電話して確認すると「銀行さん次第です」、はい、じゃあ他の銀行に電話します。

M井は、新規の申し込みのみ他支店でも受付可能、ただし、その後変更などの手続きがある場合は自身の口座支店でやならければならない。

MほもM井と同様とのことでした。

ちなみに上記した銀行の一つは、電話した支店の担当者は分からないようで、何度も確認しに行って最後すごく自信なさげに「ご自身の口座の支店でないとお申し込みできません」と言っていました。信用できなかったので他の支店にも電話すると、新規の申し込みだけはできるということで支店によって回答が異なりました。(なんじゃそりゃ)

「もしもし、経営セーフティ共済の申し込みについて伺いたいんですが」
「もう一度よろしいですか?」
「はい、経営セーフティ共済についてなんですが」
「・・・申し訳ありません、もう一度よろし」
「倒産防止共済についてお聞きしたいんですが」
「はい、倒産防止共済ですねかしこまりました」
・・・なんてやりとりもありました^^

それくらい銀行員でも経営セーフティ共済に馴染みがないということなんですね。

ですので言いたいのは、申込書を持って行くのは必ずその金融機関に問い合わせてからにしましょう!ということです。

 

 

まとめ

 

今回は経営セーフティ共済の申し込みの注意点を書きましたがいかがでしたでしょうか。

申込書自体は問題ないと思いますが、申し込みをする金融機関についてはみなさんの状況によって色々ありそうです。

法人であれば会社の近くの金融機関で口座開設しているのでこんな手間はないかもしれませんが、個人事業だと昔作った口座をそのまま使うなんてこともあるでしょう。

私の場合は大学の時に神奈川県の厚木で作ったものを使っていたのでこんなことになってしまいました。。。

決算や年末ギリギリで申し込む際は特に、申込もうと思っている銀行に事前に問い合わせ・確認してから、申込書を書くことで二度手間にならないようにしたいものですね。

 

 

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《編集後記》
昨日は経営セーフティ共済の申し込みのため昨日と違う銀行へ。その後は打ち合わせ1件。
今朝は5:45に事務所に到着しましたが本当に寒くなってきました。最近知ったんですが4:00とかより陽が昇る6:00前後の方が寒いんですね。

《兄弟日記6歳3歳》
この前長男の誕生日でした。もう6歳かと・・・来年は小学校に入るのかと・・・、成長は嬉しいけどどんどん親元を離れて行って寂しいのが本音かもしれません。

 

 

◆この記事は執筆時点の想いをもとに書いています。
また、税制も執筆時点のものになっており、記事によってはその後の法改正が反映されていない可能性がありますのでご注意ください。



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