会社名義の生命保険を「解約したとき」・「死亡保険金を受け取ったとき」の税金の取り扱い
会社名義で生命保険に加入して、保険料を払っている間は経費になるというのは分かった。
ところで解約したり、もし死亡して保険金がおりたときの税金てどうなるんだっけ・・・?
もらった保険金は収入になるの?
今回は会社名義の生命保険を「解約したとき」・「死亡保険金を受け取ったとき」の税金の取り扱いを整理していきます。
生命保険を解約したとき
生命保険を解約したときの税金の取り扱いをみていきますが、その前に超簡単に生命保険料を支払っているときの取り扱いをおさらいしておきましょう。
おさらい(生命保険料を支払ったとき)
↓このような契約の生命保険とします。
契約者:会社
被保険者:社長
受取人:会社
年間保険料100万円、半額損金プラン(経費になる金額と資産計上する金額が50万円ずつ)
この場合、支払った保険料の50万円が経費に計上され、残りの50万円が資産計上されます。
もう少し細かくおさらいしたいときはこちらを読んでいただければ↓
では生命保険を解約したときの税金の取り扱いを確認します。
解約したときの収益となる金額
(前提は先程と同じ)
契約者:会社
被保険者:社長
受取人:会社
・年間保険料100万円、半額損金プラン(経費になる金額と資産計上する金額が50万円ずつ)
・10年間保険料を支払ってから解約
・資産計上額は500万円(50万×10年)
・返戻率80%(受け取れる金額800万円)
解約したときに受け取れる金額が収益になります。
保険料を支払ったときは経費で、解約すると収益です。
その収益の金額をどう求めるかというと、次の算式で計算します。
【収益となる金額=受け取った金額−資産計上した金額】
今回の例にあてはめると、
受け取った金額が800万円、資産計上した金額が500万円ですから、その差額の300万円が収益となる金額ですね。
収益には税金がかかる
この収益となる金額(300万円)には税金がかかります。
法人税率35%としたら105万円の法人税を支払うことになります。
これが生命保険を節税と言い切れない理由の1つです。
「課税の繰り延べ」と言われるものです。
《関連》課税の繰り延べ?会社の節税で入る生命保険は税金の免除ではありません。
ただし、この収益300万に相当するような経費があれば、その収益を減らすこと(相殺)ができ、結果として税金がかからなくすることができます。
非常に細かい話になるので今回は省きますが、退職金が代表的ですね。
死亡保険金を受け取ったとき
では次に死亡保険金を受け取ったときの税金の取り扱いを見ていきます。
↓このような契約の生命保険とします。
契約者:会社
被保険者:社長
受取人:会社
・死亡保険金額1億円
・年間保険料100万円
・掛け捨て(全額損金)プラン(経費になる金額100万円で、資産計上する金額は0円)
10年間払ったタイミングで社長が死亡し、死亡保険金が1億円おり、会社の口座に振り込まれたとき、いくら収益になって、税金がいくらになるんでしょうか。
収益となる金額の求め方は先ほどと同じです。↓
【収益となる金額=受け取った金額−資産計上した金額】
今回のような掛け捨て(全額損金)の保険だと、支払ったときに100万円全額が経費になり、資産計上する金額はありません。
なので、
収益となる金額=受け取った金額=保険金1億円 です。
支払う税金は、1億円×法人税率35%=3,500万円 といった具合になります。
なかなかパンチ力のある税額ですね。
社長が亡くなると死亡退職金や弔慰金を出すことで、経費を計上し税金を減らすので、丸々税金がかかることはなかなかありませんが、何も対策しなければこうなります。
まとめ
今回は会社名義の生命保険を「解約したとき」・「死亡保険金を受け取ったとき」に収益となる金額がいくらで、それに対して税金がどれくらいかかるのか見てきました。
会社名義の生命保険は原則、支払ったときは経費、受け取ったときは収益になります。
とかく保険料を支払ったときに経費になるから節税節税と言われがちですが、受け取ったときの対策を何もしなければ、そのまま収益になる(税金がかかる)ということを意識しておきたいですね。
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《編集後記》
昨日は打ち合わせ1件。
5月がもう終わりこの時期になると、源泉所得税の半年分の支払いや労働保険料の支払い(7/10期限)のスケジューリングをしないとですね。
【税金の納付期限まとめ】1年間の納税スケジュールを把握しておきましょう!
《兄弟日記6歳4歳》
一昨日ダウンした次男でしたが幼稚園1日を休んだだけで復活。
昨日は登園でき、合気道までやってこれました。
がまたその後、熱でダウン。。。
また、税制も執筆時点のものになっており、記事によってはその後の法改正が反映されていない可能性がありますのでご注意ください。
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